コラム「日興リカの人間力」

No.05

-生産-社員の安全を守る、企業の安全性を守る。その体制を強固なものへ-

貫くのは「お客様にとって使いやすい製品を作ること」

館林工場 生産部 藤掛(2008.8.1)

一人ひとりが、技術と経験を活かせる体制

私が働く館林工場の生産部では、化粧品や医薬品、農薬品、機能性樹脂などの原材料を水素化反応という技術を用いて製造しています。それには群馬工場で製造される触媒が欠かせません。そのため2つの工場は、日々、綿密な連携をとっています。また、一般に量産化が困難と言われる製品でも、研究、技術、購買、生産など各部門が一丸となって、知恵と工夫を凝らし、蓄積した経験を活かしているからこそ、量産化を実現させることができるのです。

私は大学卒業後、一時期レンガ製造会社の研究室に勤務していました。たまたま、日興リカで働いていた友人から、事業内容についての話を聞く機会があり、将来性があるという印象と興味を持ちました。次第に働きたいという気持ちが強くなり、思い切って転職を希望し入社しました。

メンバーと苦労を乗り越え、生まれた自信

最初に携わったのは、群馬工場でのニッケル水素電池の正極材料開発でした。それまで主流だったニカド電池の数倍の電気容量を持つニッケル水素電池は、環境にやさしいという特長から大きく代替が進んでいました。しかし、順調に開発を進めていたときに、それよりも電気容量がさらに大きいリチウムイオン電池が登場したのです。当時はリチウムイオン電池の開発に参入している企業も少なかったので、日興リカも新しい電池材料の開発に着手する決断をし、私はそちらへ配属となりました。大手電機メーカーと共同でリチウムイオン電池の正極材料の開発、試作、製造ラインの確立を進めました。ところが、諸般の事情により量産化までには至りませんでした。

そんな中、館林工場で新合成法を用いた医薬品中間体の製造プラントを立ち上げるプロジェクトが決定し、私も参加すべく生産部への配属となりました。新合成法を用いた製造工程の立ち上げですから、すべてが初めての経験です。当初はメンバーたちと試行錯誤の日々が続いたうえ、机上だけでは予測できないことも多く、さまざまな困難を伴いました。実際に製造してみないと成果がわからないものも多く、手探りで進めざるを得なかったこともありました。しかし、どんなときも私たちは、「低価格でお客様が使いやすい製品を作る」という思いを一つにして取り組みました。そのためには、どうすれば不純物のない質の高い製品を作ることができるか、メンバーでアイデアを出し合い、何度も実験を重ねました。その努力が実り従来の合成法では得られなかった不純物のない、サラサラとした粒子の製造に成功したのです。お客様から高い評価をいただき、それ以来、着実に生産体制を確立し、今では年間250トンもの製造量を誇っています。結果が出るまでにはたくさんの苦労がありました。しかし、メンバーとともにそれを乗り越え、量産体制の基礎を作ることができたことは嬉しいばかりではなく、私自身の自信にもなりました。

日興リカの人間力

ものづくり企業にとって大切なのは、お客様に満足していただける製品を生み出すこと。そして、それと同じくらい大切なものに、安全性の確立があると思います。日興リカは、毎年着実に売り上げを伸ばしており、お客様も増えています。しかし、企業の規模が大きくなることで、細部にまで目が行き届かなくなり、安全性に対する意識がおろそかになることは決して許されません。特に日興リカの工場では、水素ガスをはじめさまざまな化学物質を使って製品の製造を行っています。また、水素化反応を行う釜は耐高温・高圧であるため、常に監視が欠かせないのです。そこで働く社員を守るという意味でも、気を引き締めて館林工場全体の安全性の確保に取り組んでいます。日ごろから、部下には、「感覚で判断するのではなく、確かなデータを取って比較することが重要だ」と伝え、安全性に対する意識を高めるよう努力しています。日興リカではお客様の要望に耳を傾け常に新しいものを製造する機会が多く、なおさら彼らには、データに基づいた正確な判断と、厳しい監視の目を持って欲しいと願っています。

一人ひとりが持っている潜在能力をいかに発揮して、会社に貢献するか。個人の意識の高さが、その企業の人間力につながると思っています。日興リカでは、意見や提案をどんどんアピールすることのできる、トップも耳を傾けてくれる、そういう文化が根付いています。日興リカは社員が持つ能力を大いに発揮できる会社だと自負しています。

お客様の言葉がさらなる励みに

製品化を実現するには多大な時間と労力を要します。お客様のニーズなどの情報をもとに、研究から試作を重ね、量産へとつなぎます。その途中でさまざまな壁にぶつかることもあります。しかし、「日興リカさんの製品は性能がいいから助かるよ」という言葉をいただくと、今後の大きな励みになりますし、どんな苦労も一瞬でやりがいに変わりますね!