コラム「日興リカの人間力」

No.06

生産設備・工程改善 -化学の可能性を活かし、よりよい製品開発に繋げる-

能動的に考え続ける。その姿勢が研究の未来を拓く

生産技術部 菅沼

業務について

各種水素化触媒、医薬品・化粧品基材、機能性高分子材料等の提供や受託開発など、日興リカの事業は多岐にわたっており、技術部門は館林工場と群馬工場でそれぞれの専門知識・技術を活かして業務にあたっています。
私の所属している生産技術部の主な仕事は、既存製品の生産設備と生産工程の改良及び合理化・省力化で、これらの改善によって生産性向上を目指しています。さらに、既存製品の応用の幅を広げることで、新しい製品を提案することも大切な業務のひとつです。

私は入社してからの半年間、館林工場で受託水添のラボスケール検討業務に携わった後、現在は群馬工場で化粧品基材の製造工程改善に取り組んでいます。
私が館林工場で扱っていたラボスケールの設備とは異なる実機設備なので、一口に工程改善と言っても、反応条件や原料の品質、製造設備や製造環境など、多岐にわたる条件を考慮しながら最適な工程を見つけ出すことは容易ではありませんでした。最初は「これで改善できるだろう」と計画した実験で予想とは全く違う結果が出る事が多く、その度にまた新しく予想を立てて実験する事の繰り返しでした。
しかしこのような「考えて実行し、また考える」というサイクルの中で、徐々に工程が体系的に理解できるようになり、予想通りの結果が得られるようになってきました。生産工程を体系的に理解することは、既存製品の生産性向上に留まらず、新しい製品の提案を行うためにも重要です。
日々の知見を蓄積し、理解を深め、最適な製造工程へと昇華させていくこと。
生産技術は非常にやりがいのある仕事です。

日興リカの人間力

日興リカは人と人の間に壁をつくらない、風通しの良い会社だと思います。
計画書を上司に提出して判断を仰ぐ時も自分の提案内容で実験をさせてもらえることが多く、若輩の私にも仕事を任せてもらっていると感じます。
そのため自然と「考えて提案する」ことも多くなり、指示待ちやルーティンではなく、自分で考えて働きかける機会が増えました。
もちろん手放しでなんでも任されるわけではなく、上司と十分に話し合って理解を得ることが大切です。
入社前に同じ大学出身の先輩社員から、日興リカは若いうちから色々と仕事を任せてもらえる社風だと聞いていましたが、実際に入社してそれを実感しています。

互いに納得するまで徹底的にディスカッションを重ねる社風も日興リカの特徴のひとつです。
それは上司との関係に限らず、普段の業務の中で話している時も感じます。
ディスカッションの途中で、当事者ではない人でも「ここはこうじゃないかな」と話に入ってきたり、また逆に私が他の業務を行っている同僚たちの話に入っていったりと、コミュニケーションが頻繁に生じます。

普段は館林工場と群馬工場という2つの工場で業務にあたっているのですが、頻繁に集まって進捗状況報告やミーティングを行っています。そういった情報共有が当たり前にできていることも強みのひとつであり、日興リカのチーム力の高さに繋がっていると思います。

研究者としての視点を失わず、未来を見据える

日々業務を行うなかで、ここだけは曲げたくないという自分なりの信条は、「考えることを諦めない」ことです。
現象論的な視点で実験結果を淡々と報告するだけの「作業」にとどまるのではなく、なぜこの結果が得られたのだろう?と常に考えること。それこそが「研究者としての視点」であり、それは決して失いたくないと思います。
実験がうまくいった理由、またはうまくいかなかった理由をしっかりと考えながら業務にあたらないと、その先の研究にも繋がっていきません。

将来的には、現在携わっている製品の新しいグレードを見出し、その用途と併せて提案していくこと、そしていずれは自分で新しい製品を提案し、手がけることを目標としています。
私は学生時代に電子材料関連の研究をおこなっていたため、日興リカの館林工場で扱われている電子材料関係の製品のノウハウと、自分が今まで研究してきたことを融合させ、橋を架けるような形で、全く新しい製品を作り出せたらと思っています。
そうすることで、これからの便利で豊かな世の中に更に貢献したいという思いがあります。
今はそのための土台づくりの段階ですね。

化学への興味

小さい頃から理科に惹かれ、大学も化学分野を選択。博士課程まで進んで博士号を取得しました。化学の可能性は無限に広がっており、それを引き出すのは自分次第。だからこそ、どこまでも突き詰めたいという熱い気持ちが湧いてきます。